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文文文(bunbunbun)

 

震えていた子   角田 満

2008年3月掲載 あさたまメガホン

 

  私は昨年夏、大阪の交通の便のあまり良くない山の麓にあるシェルターにボランティアとして参加致しました。この施設はテレビにも何度か活動が紹介されています。そこには沢山の犬猫がおり、彼らが生活するケージには小屋と少し遊べるスペースが設けられています。私が驚いたのはケージ内と犬達の綺麗さでした。これはある程度の広さとこまめな掃除のおかげでしょう。
  今日はそこで出会った一匹の犬のお話をしたいと思います。他の子と同様お散歩に行こうと思い、ケージの前に立つとそこには犬の姿が見えません。中に入り探してみると小屋の中で震えながら不安な気持ち一杯の目でこちらを見ていました。無理に近付いても恐がらせるだけと思い、ケージの中でその子の顔は見ないようにして、じっとしてみることにしました。
  しばらくすると、小屋から顔を出し様子を見ているのを感じました。それでもこちらがじっとしていると小屋から出てきてにおいを嗅ぎ始め、終いには顔をぺろぺろ舐め始めました。臆病で一見人嫌いそうに見えたこの子は、実はとても甘えん坊さんでした。 翌日もう一度遊びに行くと初めて会った時の様に、小屋にこもっていました。それからは覚えてもらう為に毎日その子のケージに遊びに行きました。四日目にやっとケージの前に立った私を歓迎してくれる様になりました。
  この子がシェルターに来た経緯を聞くと、飼い主が子犬の頃に兄弟たちと共にこの子を家に取り残し、引っ越してしまったという通報を受け、保護に至ったそうです。
  他にも、過去の経験から人を信じられなくなってしまった子達が何匹もいます。好きだった人間に裏切られることで人間を信用出来なくなってしまったのです。もしも、シェルターに保護されていなければこの子達は処分されていたことでしょう。
  この様に飼い主が捨てるだけでなく、ペットショップなどで売れ残った犬猫達が処分されている現実もあります。残念ながら日本はそういったところに我々の目は行き届いておりません。我々の目に見えていないことが沢山あります。これを機に「ペット問題」について考えていただければ幸いです。
  地球が、全ての生き物が「この星に生まれて良かった」といえる星になります様に。

 

角田 満(つのだ みつる)
下丸子在住
東京農業大学獣医学科在学中 将来は自然保護関係の仕事につくことを希望

 

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