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文文文(bunbunbun)

 

子どもがいるから頑張れる   竹内陽子

2008年7月掲載

 

  私は十年くらい前から、フィリピンの貧しい地域に住む子どもたちへの支援活動をお手伝いしています。そんな活動の中でフィリピンからやってきたシオニーさんとお友達になりました。ほっそりとした美人で、日本語もとても上手です。
  彼女は、十五年前にエンターテーナーとして六ヶ月のヴィザで来日し、知り合った日本の男性と結婚しました。結婚相手として、その人と一緒に郷里に帰ると、家族中が喜び、祝福してくれました。そして、大田区の夫のお母さんの持ち家での新婚生活が始まりました。
  シオニーさんには、今、高校生、中学生、小学生の三人の子どもがいます。夫から渡される生活費は多くなく、食べざかりの子どもを養っていくのはとても大変です。それでシオニーさんもアルバイトを二つかけもちしています。昼間は洋服の直し、夜は週三回ほどファーストフード店で調理の仕事をしています。しかし、アルバイトの収入は月十万円にも足りず、家計のやりくりに頭を悩ます日々です。
  「もうひとつの悩みは、夫との会話が少ないことです。夫は仕事やつきあいで夜遅く帰ることもあり、またすぐ母屋の義母の家に行ってしまいます。お互いになかなか自分の気持ちを言えません」。夫とけんかをすると、義母や夫の姉は、夫の肩をもつばかりで、シオニーさんの気持ちを理解しようとはしてくれないと言います。両親のいるフィリピンには、費用の関係でほとんど帰ることはありません。ストレス解消は、日本人やフィリピンの友達と話したり、たまにカラオケに行って歌ったりすることです。シオニーさんは英語の歌も日本語の歌も上手でとても情感が溢れています。
 最近彼女は病気でアルバイトを一ヶ月休みました。生活の相談のため区役所に行ったところ、夫がいるため福祉施策はうけられず、日本語は難しく、あちこちの部署で冷たくあしらわれたとのことです。こんな時に、福祉施策は受けられなくても、彼女の話に耳を傾けてくれたら、少しは元気づけられたのではないかと思います。(区役所の仕事が忙しいのは重々承知ですが)
  シオニーさんは、「今は生活が大変。でも、子どもがいるから頑張れる」と言います。そして、日本の子どもが中心の獅子舞クラブに参加したり、フィリピン料理を紹介する活動をしたりしています。将来は日本に住む外国人の相談にも乗りたいと考えています。少しずつですが、日本の社会に根をはって生活しつつあります。シオニーさん頑張れ!

●竹内 陽子(たけうち ようこ)
中央在住
区役所の福祉関係業務に従事、ボランティア活動も熱心に続ける

 

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