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音の話(その一)  相澤克己

2010年7月掲載  

 

 お話しするのは、音と言っても、快い音ではなく、困った音のこと。集合住宅にお住まいの方で、ご近所の音でお困りの方は意外と多いようです。稀には、せっかく、気にいって購入した住居なのに、引っ越さなくてはならないほど悩んでいるという方の話も聞きます。
 設計者のちょっとしたアドバイスがお役に立つどうか、二回にわたり、その原因と対策について書いてみます。
 まずはご近所に伝わる音の種類について。音は空気の振動で聞こえる訳ですが、この伝達は二つに分類できます。「固体伝達音」と「空気伝達音」です。
 「固体伝達音」とは、コンクリートの壁を金槌などの硬いもので、たたくと「コツコツ」と言う音が出ます。このような音が伝達する事です。この固体伝達音は、かなり遠方まで伝達するのが特徴です。造りつけのクローゼットの開閉音もこの伝達によるものです。玄関の鉄扉のクローザーの調整不足によるドンとしまる音はかなり遠くまで響きます。クロ―ザ―の調整はねじひとつで簡単にできますので、鉄扉のしまり方が早いお宅は試してみて下さい。
 また、「タイヤ音」と言うタイヤを床に落としたような低い「ズン」という音も固体伝達音で、非常に不快な音です。お子さんが椅子から床に飛び降りた時等に、発する音がこれです。フローリングのお宅は、椅子の脚等の硬いものを引きずったりするとやはり個体伝達音がかなり遠くまで響いているのです。
 次に「空気伝達音」とはステレオの音などが空気を伝わって届く音の事です。空気がコンクリートの壁をスピーカーのコーンの様に揺らし隣戸に伝達します。この音は固体伝達音と違い上下階、燐戸だけに伝達し、あまり遠方まで伝達しません。とは言え、適正な音量で聞く事は集合住宅に住む現代人の常識だと思います。この音の伝達を防ぐ方法はコンクリートの壁に直接家具等を付けない事です。薄型テレビを壁に取り付ける場合もこのような理由で注意を要します。
 次回はこの様に不快な音の伝達を防ぐ方法を、もう少し詳しく考えてみましょう。 (つづく)

 

●相澤克己(あいざわ かつみ)  下丸子在住

 

 

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