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文文文(bunbunbun)

 

自らの「いのち」を守るために (1)

♪エエジャナイカ、エエジャナイカ   安中 正行  

2011年7月掲載  

 

 ♪♪エエジャナイカ、エエジャナイカ、エエジャナイカ、原発なくてもエエジャナイカ。いのちが大事、エエジャナイカ。エエジャナイカ♪♪
 と、未来の子供達のことを思うと口ずさんでしまう。3・11地震・津波・福島原発の複数の原子炉が同時にメルトダウン(炉心溶融)した世界最悪レベルの原発事故で胃の中に重い物を入れたような気がして。なぜか、地震でもないのに揺れているような気がして。今は治まったか。それでも、被災地、原発で避難している人々のこと、母親、子供のことを考えると気が重い。晴れ晴れしない、清々しない。政府、東電の発言にイライラする。今になって後出しジャンケンが多くなっている。メルトダウンを早く発表していれば、半径二十km圏内の人々、特に浪江町の人々を二ヶ月も避難させないで、と憤る。
 おっとと、いのくら屋の紹介をしなければ何者か解らない。いのくら屋は大田区中央一―五―一にある自然食品店です。生れたのは、一九七〇年代各地に公害や開発があって海や川、山が荒れ放題になった時期。かつて飲み水になっていたきれいな多摩川に合成洗剤の泡が溢れていたのは知っているだろうか。そこで、合成洗剤追放して昔ながらの石けんを使おうと運動した。その経過から、自分たちの身の回りの「食」を見ると添加物のオンパレードでした。それは今も変わらないか。それから、みそ・たまご・天然酵母のパン、ちょっと遅れて無農薬野菜を共同購入した。
 その頃、有吉佐和子の化学合成物質が人体へ与える悪影響に警鐘を鳴らした『複合汚染』を読む人々が少なくなかった。都内でも共同購入グループが増えたのです。無農薬の野菜の仕分けをしながら、自らの「いのち」を「まもる」のは自らだと言う思いがあったのだ。
 大量に生産、分業化される加工、そして長距離輸送のシステムでは、毎日口にする食べ物がどこで、誰に作られて、どうやって運ばれてきたのかを知りようがありません。大切なのは食べ物の生産される場と食卓の距離をなくすこと。作る人と食べる人の思いや喜びが相互に伝わることです。 “顔と顔が見える店 ”でありたいと産直の店を続けて二十五年経ちました。       しかし今、放射能物質が空から降り注ぐ。未来の子供はどうなる。瀬戸内寂聴さんは語る「未来を背負うのはこの子達です。子供が無事に育っていて、しっかり勉強できる世の中を今の私達は残していかなければならない。それは我々大人の義務でしょうね」と。 

 

●安中正行(あんなか まさゆき)羽田在住

 

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