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文文文(bunbunbun)

 

へうへうとして水を味ふ  山頭火  吉清克子  

2011年9月掲載  

 

 私のはじめての句会は、四年前の夏の「昭和のくらし博物館」と『我が街かわら版』共催のものでした。昭和のくらし博物館の中庭の縁台に腰かけ、左手の指を五、七、五と折って夢中で五句もつくりました。この日の高得点句の作者は男性で、先生からご褒美の「竹の虫籠」を嬉しそうにいただいていましたっけ。

  その日の楽しさが病みつきとなり、季節ごとに千鳥町のこどもの本屋さんで開かれる句会を楽しみに出席してきました。が、今でも私の句は一向に上達せず、指折り数える句作も相変わらずです。
 句会の当日に初めて出会う季語の幾つか。その季語に触れ、参加者全員が句作に没頭、とても静かな時間です。出来た句の中からたった一首をえいっと清書して提出する。すべての句が出揃うと、その中から各自、三句を選ぶのですが、この時、どんなに自分の句が愛しく、立派と思っても選ばないのがルールだそうで、これも句会の奥ゆかしさだと私は感じいっています。
 ドキドキしながら、判定を待つ、このスリリングな一瞬。どの句もまぶしく、自分の句がかすみます。愈々参加者全員が各自選んだ句の感想を述べる私の一番好きな時間です。私の句を選んでくれた人の評を聞き、自分の句がそんな風に読まれているのかと、それは新鮮な驚きです。作者の手を離れて一人歩きする俳句、「句の自立」でしょうか。最後に先生の評がなされ、高得点句の作者が名乗る。
 何回目かの句会の時、私は自分のための「歳時記」を、その本屋さんで購入しました。四季に分かれた小さな冊子。「無人島に持って行くならこの一冊を」という某出版社の企画に歳時記をあげた人がいましたが、今ならわたしもなるほどです。何て味わい深くて楽しいことか。季語ごとの例句を思わず声に出して読んでみます。
 四季に恵まれた日本という国の季節を愛でる人達が選んだあふれんばかりの喜びの言葉たち。季語という宝の言葉を日々に息づかせ、百万語をついやしても描ききれない草々を、軽やかに、この短い詩の中に写し取ってみたいものです。
 俳句は楽しい、あぁ、俳句はうんとむつかしい。

 

●吉清克子(きっせい かつこ)下丸子在住 
  吉清さんは、7月23日(土)のワンコイン俳句入門講座にも参加されました。その時のテーマは夏の飲み物。出された題はビール又は麦茶でした。
  今回は予め事前に題をお知らせして投句をしていただきました。
吉清さんは「すいのみの麦茶に母は目を細め」と詠み最高点を獲得されました。
 文中にある千鳥町の絵本屋「ティールグリーン」の土肥あき子さんを囲む句会は季節ごとに開催。 問合せ  ティールグリーン(5482)7871 

 

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